1899年、アメリカ・シカゴで緑茶を即席化(インスタント化)する研究をしていた科学者:加藤サトリ博士の研究途上で発明された『真空乾燥法』(フリーズドライ法の原型)が、インスタントコーヒーの始まりとされています。

1901年には『ソリュブル コーヒー』(溶けるコーヒーの意味)として、ニューヨーク州バッファローで開催されたパンアメリカン博覧会で無料サンプルとして配布し発表され、1903年には特許を取得しましたが(特許番号735777号)、商品化し世間に浸透することは無かったそうです。

1909年にはガテマラにいたイギリス人ジョージ・ワシントンが『Red E Coffee』の大量生産を開始して商品化、第1次世界大戦中の米軍兵士たちにインスタントコーヒーの配給品を供給しました。
1906年に特許も取得していますが、加藤サトリ博士の特許との関連性は不明だとのことです。
 
1937年にスイスのネスレがスプレードライ法を完成させ、翌1938年には現在のインスタントコーヒーの源流となる『ネスカフェ』を販売。第2次世界大戦中の米軍兵士にも供給され、一気に一般普及することとなります。

インスタントコーヒーの製法は2種類あり

  • スプレードライ法は、コーヒー液を噴霧して熱風で乾燥させて粉にします。細かい粉が特徴です。量産も可能で安価ですが、高温で乾燥させるため香味や風味の劣化が生じる欠点があります。
  • フリーズドライ法は、コーヒー液を凍結して粉砕し、真空にして乾燥させます。1960年代にアメリカで発明されましたが、1899年の加藤サトリ博士の『真空乾燥法』が原型ともいえます。尖った粗い粒が特徴で、低熱処理で精製するため香味も風味も豊かですが、製造コストがかかるので若干高価です。

*フリーズドライ法のインスタントコーヒー

 

加藤サトリ博士以前にもインスタントコーヒーの概念はあり、1771年にイギリス、1853年にアメリカで考案されましたが『ただのコーヒー豆の粉末(ただの水溶き粉末)』で、精製時の香味・風味の劣化、保存期間の短かさとインスタントコーヒーと呼べるものではありませんでした。またそういう意味での世界初の商品化は1889年のニュージーランドという事になります。

ちなみに日本のメーカーで初めてイスタントコーヒーを製造・販売したのは、1960年の森永製菓
1杯約10円で『お手軽にコーヒーの味と香りが楽しめる』と大ヒットだったそうです。

また森永製菓は同年、好きな人にチョコレートを贈る『バレンタインデー』の大々的な宣伝活動を展開し、日本にバレンタインの習慣を根付かせたそうです。

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