*画像の生豆を一粒づつチェックして、1.~11.の欠点豆を抜くと同時に『色』・『形』を整えていきます。

 

私の経験上、どんなに良質のCoffee生豆を仕入れていても必ず『欠点豆』が混入しています。ナチュラル(非水洗い式)製法の生豆の方がその混入率が高い傾向は、先の『精製方法のちがい』で述べた通りで、管理が行き届いていないものだと1袋(国によって異なりますが1袋=60㎏前後)の約4割を占める事もあります。

主なものでは、以下のものが挙げられます。

  1. 石・砂・木片・ガラスなど(天日乾燥時に混入する場合が多い)
  2. 穀類(トウモロコシなど)
  3. 貝殻豆(割れたりえぐれたりした変形豆)
  4. 発酵豆(雑菌が付着して発酵した豆)
  5. 虫食い豆(Coffeeの害虫=蛾の幼虫にかじられた豆)
  6. カビ臭豆(湿気を吸って青カビや白カビがでた豆)
  7. ヴェルジ(未成熟豆)
  8. コッコ(果肉がついた状態で乾燥したり、脱穀が不完全な豆)
  9. パーチメント(内果皮が残っている豆)
  10. ブラックビーン(完全に発酵していたみきった豆の残骸)
  11. 死豆(正常に実を結ばなかった豆)

どれも生育・精製過程の天日乾燥時や、ウォッシュド(水洗い式)製法の発酵槽の中、倉庫での保管中や、船便での輸送中に起こる症状です。どの混入物も『百害あって一利なし』焙煎前・後に必ず2回行うハンドピックで見落としてしまうと、まわりの正常な豆にも悪影響をおよぼし、ヨード臭やカビ臭・腐敗臭などの異臭をはなち、Coffeeの濁りや雑味・青臭さの原因となります。

1袋(60㎏前後)を一粒残らず選別(=ハンドピック)するので、漫然とやっているとものすごい時間の浪費となってしまいます。各店舗によって異なるとは思いますが、必ずルールを決めて行います。一目で分かり易いものを抜いていき、迷ったものは抜くなどのルールを決めるのですが、明らかに色が違っている異物やブラックビーン、カビがはえたり、穴が開いたものなどは分かり易いのですが、微妙な色違いの変化によるもの(ヴェルジ(未成熟豆))など判別が難しいものもあります。

468 SiMBA Coffeeでも、ハンドビックを焙煎前・後に必ず2回おこなうのですが、特に焙煎前のハンドピックで意識している点は、

『この生豆が同じ釜の中で焙煎される』

という点です。同じ釜の中で色・形(≒水分量・成熟度)が異なるものを均一に焙煎する事は、どんな技術をもってしても不可能だからです。

あそび程度の幅は持たせて焙煎プログラムも組んでおりますが、その範囲内で欠点豆の除去と同時に、生豆サイズや厚みなども整えております。

そのため、仕入豆1袋の全体の成熟度を最初に確認し、ハンドピックで除去する色・形の(≒水分量・成熟度)の基準をまず作り、多過ぎず少なすぎない生豆に小分けしてハンドピックを行います。

1袋(60㎏前後)⇒ ハンドピック ⇒ 1袋(55㎏前後)⇒ 焙煎 ⇒ 44㎏前後のCoffee

が、豆の種類によって変わりますがひとつの目安でしょうか。

目減りする事も考慮して、ハンドピックの選別基準も設定しないとなりません。

あまり表立って注目される作業工程ではない地味な作業のハンドピックですが、468 SiMBA Coffeeでは、仕入れ豆の目利きと同様に重要な作業工程と位置付けております。