千年以上に及ぶコーヒーの歴史。
正確な文献・記録もなく曖昧な部分もございますが、ここではコーヒーの起源として最も認知度が高い、エチオピアとイエメンの2つの伝説についてご紹介いたします。

『カルディの踊るヤギの伝説』(エチオピア)

13世紀。
ヤギ飼いの少年カルディが、遊牧しているヤギが夜になっても走り回り、興奮が収まらないことを不思議に思っていたら、ヤギたちが『赤い木の実』を食べているのを発見したそうです。
修道院に相談し、試しにカルディと修道士がその実を噛んでみたところ、気分は爽快になり眠気も吹き飛んだそうです。
その『赤い木の実』こそがコーヒーの実(=レッドチェリー)だったと言われています。
その後、修道士たちは長い夜の祈りの際の眠気覚ましに、この実を用いたと言い伝えられています。

 
『モカの守護聖人の伝説』(イエメン)

13世紀。
イスラム教の高僧:オマールは誤解から王の怒りをかい、町を追放されてしまったそうです。
山中をさまよい歩き飢えたオマールは、小鳥がついばむ『赤い木の実』を食べてみたところ、たちまち疲れは癒され、心と体に力が沸き上がってくるのを感じたそうです。
その後オマールは、その実の煮汁で多くの病人を助け『モカの守護聖人』と崇められたそうです。
それ以降、コーヒー(=煮汁?!)はイスラム寺院で修行の際の秘薬として用いられる様になったそうです。

*イエメンと言えば『モカ』(コーヒー豆の名前)は、もちろんこの伝説の『モカ』(=町名・港名)が由来です。

どちらも伝説らしい伝説だと思います。
実際にエチオピアもイエメンもコーヒー産地としては、有名で認知度も高いです。

私見になりますが、2つの伝説に共通しているのは『偶然に発見されて』・『薬(秘薬)として使用され』・『現在の医学的見地からもその効能が謳われている』点ではないかと思います。

エチオピアもイエメンもそれぞれ13世紀の伝説。
どちらも『発祥の地』として譲らないところですが、10世紀はじめにペルシャの医学者:ラーゼスが『医学集成』のなかで『ブン(バン)とその煮汁のバンカムは刺激的でさっぱりしており、胃に良い』(ブン(バン)=コーヒーのこと)と紹介したものが、はじめてコーヒーについて記された文献とされています。

どれも共通する医学的効能は一致していますし、どこが発祥の地かの確定は困難かと思います。
最も認知度が高い2つの伝説を紹介させていただきました。

よろしければ参考になさってください。